こんな人に読んでほしい
- 船乗りを目指している学生
- 船乗りになることが不安な学生
こんにちは現役外航船員です。
現在は某大手三社海運で船乗りエンジニア(一等機関士)として仕事をしています。
船乗りを目指す学生さん
就活中、人事の人たちは船乗りの仕事を出来るだけ輝かしく説明します。
もちろんたくさんの人材に応募してほしいからですね。
海技機構の人たちも同じですね・
船乗りの人材を増やす目的なのでそれは仕方がありません。
さて、この記事では船乗りの現実を発表します。
学校や、会社の人事、海技機構は教えてくれませんので、是非ご覧ください。
定期的な飲み会やパーティが地獄
定期的な飲み会やパーティが地獄な理由
- 準備が全て若手任せ
- お酒に酔った上司に本気で説教うける
- 飲み会原因で鬱病になる船員もいる
船では定期的に飲み会、パーティーがあり楽しいです。
クリスマスではクリスパーティーも行います。
レクリエーションもやったりします。
船内では最高の娯楽ですよ。
狭い船内でも楽しみがあるのか
パーティーとか楽しそうだな、飲み会とか好きだし向いてるかも
こんな光景よくあります(笑)
結論から言いますと基本的には飲み会やパーティーは地獄です。
私も三等機関士時代は船の飲み会やパーティーに参加することが一番辛かったです。
一等機関士になった今でも辛いですね。
三等機関士であれば飲み会のメンバーは全員おっさんです。
そんな人と飲んで楽しいでしょうか。
俺の若いころはとか最近の若者はとかグチグチ言われますよ。
飲み会の場で酔っ払ったおっさん上司に本気で説教を受けることなんて日常茶飯事です。
私も若いころ飲みの場でよく説教を受けてました。
空気も最悪ですし、まったく楽しくありません。
クリスマスパーティーなど大きなパーティーであれば
皆が楽しめるレクリエーションの計画、景品の準備、余興などこれらは誰が行うのでしょうか。
パーティー準備は全て三等機関士、航海士です。
船の仕事が毎日きついなか、時間を見つけてこれらも同時にやらなければなりません。
本当に寝れなくなってしまいます。
もし準備が万全でなければ説教を受けます。
本気で飲み会やパーティーを楽しんでいる三等機関士、航海士はいないと思います。
実際に飲み会が原因で鬱病にかかってしまう若手も毎年います。
きつい仕事の間を縫って飲み会やパーティーの準備をし、飲み会中は上司に100%の気遣いをして、挙句の果てに説教されるような環境は最悪です。
船乗りを目指す際には飲み会やパーティーは地獄ということは念頭に置いて下さい。
こんなことは必ず人事の人たちなどは教えてくれませんよ。
一日の労働時間平均は11時間
機関士編
機関士はM0船で17時以降の仕事はありません。
基本的には8-17時の勤務体系で一般的なサラリーマンと同じです。
学生の訓練船は夜中に起こされて当直8時間とかだったし
会社の船は8-17時の決まった勤務体系なのは良いな
こんな楽な環境ではありません。訓練船の生活の何倍もしんどいと考えて下さい。
基本的には17時以降も仕事しなければなりません。
では実際にどういう勤務体系か見てみましょう。
基本的な3等機関士の一日のスケジュールです。
ここで注意してほしいことがこれは比較的楽な一日です。
書類仕事も入れますと一日約11時間の労働です。
暑いエンジンルームでの作業8時間終わった後に数時間の書類仕事はかなりきついですが
これが船の仕事です。
さらに飲み会やパーティーの準備や企画等をしなければなりません。
またM0船とはいえ24時間エンジンは動いてますので
アラームが発生すれば夜中だとしても現場に急行しなければなりません。
これから船乗りを目指す学生に伝えたいことは例えM0船だとしても
休憩時間はほとんどないと考えた方がいいです。
船はお世辞もホワイトな労働環境ではありません。
航海士編
三等航海士は基本的にパーゼロ当直で一日8時間の労働です。
訓練船みたいに夜中の当直ではなく
パーゼロ当直で固定だと余裕だな~
航海士の仕事は当直がメインですが、当直だけが仕事ではありません。
当直以外にも様々な仕事が莫大な量あります。
日誌の作成、港に入るための書類の作成、消火設備や救命艇の点検などです。
当直中は安全に船を航海しなければいけませんので、それらの仕事は必然的に当直時間外で行うことになります。
では実際にどういう勤務体系か見てみましょう。
一般的な三等航海士の一日スケジュールです。
当直以外にも仕事をしなければなりませんので
13時から17時まで当直外の仕事を行う三等航海士がほとんどですね。
さらに航海士は入港、出港時は更に忙しいです。
一日5時間寝ることが出来れば幸せなどと言う三等航海士も過去にいましたね、、、
またこの怒涛のスケジュールに飲み会やパーティーの準備や企画等を行うときには
休憩時間を削るしかありません。
これから三等機関士、航海士を目指す学生さん
船の労働環境はかなりブラックに近いグレーのような勤務体制です。
世間では働き方改革が促進され残業が減ってきています。
船ではその改革はなかなか浸透していないのが現実です。
しかし、私が三等機関士だった頃よりは勤務時間等に関して、かなり改善されてきています。
今後も改善されていくことを望むばかりですし、それが出来るのはこれからの三等機関士、航海士です。
労働環境について良い方向で改善されるようどしどし会社に意見をしてくださいね。
海外上陸は出来るが、自由ではない
外航船は世界各国に入港するのでヨーロッパやアメリカで
上陸し羽を伸ばせます
仕事しながら海外旅行が出来るなんて最高!
世界一周も夢じゃないな
これは半分正解で半分不正解ですね。三等機関士、航海士はそんな甘くありません。
海外上陸が自由ではない理由
- 買い出しに行かなくてはならない
- 上司の飲みに付き合う
- 上陸時間が少ない
確かに、海外で上陸出来る時もあります。
実際に私もアメリカやドイツ、中国、韓国などで上陸した経験があります。
では上陸すれば何をするのでしょうか
訓練船であれば、友達と飲みに行ったり、観光名所に行ったりとかなり楽しいですよね。
社船は違います。
社船の上陸は主に上司の飲みに付き合うこと、船への買い出しなどです。
自由時間もありますが、ほとんど無いと思って下さい。
社船の場合船の入港時間は船の種類にもよりますが1~2日程です。
上陸できる時間は1日あれば最高です。
基本的にだれか上司と上陸することになりますので、上司の付き合いで飲みに行きます。
そして、上陸する人は船に残る人から大量の買い出しを頼まれます。
大量のお酒や、おつまみ、日用品などです。
何人も頼んできますので買うだけで非常に時間がかかりまし、両手いっぱいの荷物になります。
悪い言葉でいうとパシリです。面倒ですよね、、、、
それらをしていると、自分で自由に使える時間はほとんどありません。
しかし、やはり上陸は結構楽しいです。
ずっと船の環境から解放され羽を伸ばせることは事実です。
長期休暇の予定が立てずらい
6カ月の乗船の後は3カ月の長期休暇があり普通のサラリーマンが
出来ないような旅行や経験が出来る。
3カ月休暇もあれば、お金もあるし海外旅行に行き放題!最高!
これも半分正解、半分不正解ですね。
長期休暇の予定が立てずらい理由
- 長期休暇はどれぐらい貰えるか分からない
- 休暇中定期的に研修を受ける
長期休暇は2週間や、4カ月など様々
確かに基本的な外航船の場合、業務体系は6カ月乗船、3カ月休暇ですが
私は8カ月乗船2週間休暇、6カ月乗船4カ月休暇を経験しました。
乗船が終わった後にどれぐらい休暇がもらえるのか分かりません。
次の乗船連絡が来た時に
「今回の休暇は3カ月だったなー」と分かります。
乗船連絡というものは乗船の約2週間前に来ます。
結構ギリギリですよね。
なので休暇中はなかなか緊張感があります。
今日も乗船連絡来なかった、あと2週間は乗船ではないなという緊張感です。
つまり、休暇中次の乗船がいつか分からないので、予定が立てづらいです。
研修を休暇中に数回受ける
休暇中全て好きにしていいという休暇はほとんどありません。
休暇中3週間に1回程度で研修を受けなければなりません。
1泊2日や2泊3日など様々です。
研修によっては海外に行く研修などもあります。
休暇中であっても、会社から命じられた研修を1番に優先しなければなりません。
ぶっちゃけ、なかなかのストレスです(笑)
会社のこと何も考えず長期休暇を満喫したいですよね。
休暇中であれ、会社員であることの自覚が必要になってきます。
否定的な事ばかり述べましたが、、、
就活では教えてくれない船乗りの現実
- 飲み会やパーティーが地獄
- 海外上陸に自由はない
- 長期休暇中の予定が立てづらい
これまでかなり否定来な事を書いてしまいました。
私は船乗りという仕事自体を否定したい訳ではありません。
船乗りになった時の苦悩などを紹介したかったです。
どんな職業でも苦悩や辛いことはあります。
その中で船乗りという職業をより深く知ってもらえるようにこの記事を書きました。
もちろん船乗りの良いこともたくさんあります。
これから船乗りになろうとしている各商船学校、短期大学、新3級志望のみなさん
船乗りは非常に面白い世界です。就職活動、面接頑張ってください。
陰ながら応援しています。
もし就活で不安な事、ES見てほしい、そもそも船乗りってどういう仕事なの、
などどんなことでもいいので相談に乗ります。
学校や名前など全て匿名で構いません。
下記のお問い合わせよりお願いします。
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